📕 チームとその相乗効果を読む

いつの時代も、人と人、チームとチームが協調して相乗効果を生むのは難しい、と感じます。とはいうものの、2022年のソフトウェアエンジニアリングには不可欠な能力。いろいろな本でも、その理論が説明されています。いくつか紹介したいと思います。

THE TEAM 5つの法則

モチベーションクラウドを提供しているリンクアンドモチベーションの元取締役が書いたチーム理論。チームのマネジメントとインタラクションの法則を、それぞれのパターンに合わせて平易に説明しています。 「チームはこうあるべき」という紋切り型の正解はなく、自分たちが達成したいこととメンバーをよく見極めながら、目標やコミュニケーション、決断の方法を選んでいけなければいけないとしていました。

チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計

「THE TEAM」が一つのチーム、チーム内の協調だとしたら、こちらの本はチームの分割やチーム間連携の法則について説明しています。組織形態がデリバリーのパフォーマンスに与える影響は大きいです。過去の組織に関する考察(マトリクス組織、Spotify モデル、 ティール組織)を経て、新たな「チームのトポロジー」を提案しています。

特徴的なことのひとつはチーム間のインタラクションに注目したこと。Static な組織図を書いただけでは実体を表現していない、と断言した上で、チーム間の連携(コミュニケーション・インタラクション)をパターン化、実際の有効なチーム間連携を設計し適用すること、さらにチームと連携の状況をモニタリングしながら絶え間なく調整していくことが必要と説明しています。

例えば、コミュニケーションを「通信量」にたとえ、「チームのそれぞれの役割に応じて、太い回線を用意したり、無駄な通信が起きないようにチームを分割する」といっています。日々のシステム運用では自然と実施していることで例えられていて、おもしろかったです。(でもたとえがシステムと数学に寄っていて、ちょっと読みにくいのが難点...)

LeanとDevOpsの科学 - テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する -

最後は「ん?これ、チームの話?」という本です。

プロセスから顧客価値につながらない「無駄」を削ぎ落とすLean と 開発と運用を分離させないことを説くDevOps。この二つの開発手法を活用することにより、開発組織にとどまらず組織全体のパフォーマンスが向上する、ということを説明しています。 歴史的に Lean は顧客と製造、DevOpsは開発と運用に「共創」というパラダイムシフトをもたらしました。この本では、Lean と DevOpsのさまざまなプラクティスの関連や、それらが組織の文化やパフォーマンスにどう影響するかが俯瞰できます。全体のつながりを意識しながらパーツを整備をしていくのが吉だと感じました。

人が創造的に能力を発揮するために

開発以外の人は、「システム開発」というと無機質なものを想像するかもしれません。ただ、現在のサービス開発が一人ではできません。なので、結果、個人や人と人が協調してチームがパフォーマンスをあげるためにはどうしたらよいのか、という理論がいっぱいあります。

私からみると、当社のエンジニアリング組織は、個々の高いHospitalityやCommunicationのマインドに助けられて事業が成立している印象です。チームの境界やインタラクションに関して、「設計する」「定義する」ということをあまりしておらず、それゆえに伸び代があるよう感じます。マネジメントの問題ですね😝。難しいんですけどね。

せっかくよい文化があるチームなので、当社の、それぞれのチーム(プロダクト運用、新規事業開発... )にあった形を模索したいと思います。